”整体”と聞くとボキボキ骨を鳴らすもの、というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃるかと思います。
そもそもなぜ骨を鳴らす整体は体を痛めてしまうことがあるのか、骨を鳴らす整体と鳴らさない整体の違いは何なのか、その二点についてお話しようと思います。
まず、なぜ骨が鳴るのか
骨の関節の部分を覆っている滑液包という薄い膜があり、関節はこの滑液包によって包まれています。その中は滑液というヒアルロン酸やタンパク質の溶け込んだ潤滑液により満たされており、骨同士が摩擦によって擦れ、削れるのを防いでいます。
この滑液の中には、二酸化炭素や窒素などの気体が溶け込んでいて、引っ張ったり強く曲げたりすることによって関節の中が陰圧になり、溶け込んでいた二酸化炭素や窒素が一気に気体になり、
破裂した時の音だとされています。
また、一度鳴らすとしばらく鳴らないのは、気体になった二酸化炭素や窒素が滑液包の中で
蒸気になり、再び滑液の中に溶け込むまでは鳴りにくいためと考えられています。
何故骨を鳴らすような整体は良くないのか
大きく分けると、2つのリスクがあると考えております。
一つは、二酸化炭素や窒素が気体に昇華する際に、気泡が発生して潰れた事によって衝撃波が生まれ、その衝撃波が関節の中を傷つける可能性があるということです。
傷つけられた関節内で炎症が起こり、痛みの引き金になってしまうかもしれません。
もう一つは、単に骨が鳴るような強い力で整体をすることによって、骨の周りの組織が微小に
損傷し、炎症を起こし痛みが発生しやすいということです。
以上の点から、積極的に骨を鳴らす整体は体を痛めてしまうことがあると考えらえれます。
しかし施術の途中で骨が鳴ることは多々あり、過度に疲労の溜まっている個所や、位置関係に狂いや歪みのあるところは鳴りやすいと状況であると思われます。
問題は骨が鳴ることではなく、鳴らそうと強い力で体に圧力を加える事が好ましくなく、
骨を鳴らす整体と鳴らさない整体の大きく異なる点は、強い力を加え強制的に骨を鳴らそうとするものではなく、位置関係に狂いや歪みのある部分に必要最小限かつ最も効率の良い刺激圧を加え、正しい姿勢や位置に戻るように促すというのが、骨を鳴らす整体と鳴らさない整体の違いです。