鍼灸治療と言うと、鍼は痛い、灸は熱い、などのイメージがあるのではないでしょうか。
初めての患者様は特に不安が大きいので、「痛くないですか?」とご質問される方が多いです。
実際の鍼は髪の毛よりも細い鍼があったり、灸は熱くないような灸があったりと、患者様の
状況・希望に合わせた施術方法をお選びいただけます。
鍼灸の効果については、”免疫力を高め、自然治癒力を高めること”が本来の効果になります。
鍼やお灸をすることで症状が改善されるというより、自分自身の回復力を最大限発揮できるように、鍼特有の効果や灸特有の効果が付随されることで、相乗効果により効率的に症状を改善させることが出来ます。
鍼特有の効果については、症状のある部位または原因になりそうな周囲に鍼を刺入し、組織に微小な傷を付けることによって、体の中の免疫機構に認識させます。
そのため、組織の修復を促進させたり、血管を拡張させ、酸素や栄養をたくさん取りこんだ新鮮な血液を呼び込み新陳代謝を高めたり、異物と戦う白血球を呼び寄せ、傷付いた部位から感染することを防ぐ効果などがあります。
灸特有の効果については、灸の温熱による蛋白変性効果により、タンパク質を45℃前後で温め、ヒートショックプロテインを発生させ、組織の修復を促します。
また、灸で使う”もぐさ”自体にも人体にとって有用な成分が含まれており、もぐさの原料のヨモギには止血作用があります。よもぎを乾燥させ精製したもぐさには精油成分が含まれており、嗅いだり皮膚に触れることにより、リラックス効果をもたらすなど様々な効果があります。
さらに鍼灸治療には鎮痛効果もあり、皮膚や筋を刺激し、痛みを制御するシステムを起動させ、疼痛を抑えることが可能です。
特記すべきは、鍼灸治療には筋骨格系疾患や外科的な疾患だけでなく、内科的な疾患にも応用が利く点です。
西洋医学では原因が不明で治療すらできないような疾患も、東洋医学では不定愁訴として捉え、自律神経を整えたり内分泌系に作用したりと、西洋医学では対応しにくい症状にも施術を行うことが可能です。
東洋医学では病気になる前に防ぐことを”未病”といい、現在でいう予防医学の分野に古くから携わっています。
近年予防医学の発展は目覚しい物があり、医療費の逼迫から政府も疾病の予防に力を入れています。
鍼灸の様々な効果を駆使して同時並行させることにより、体自身が持っている自然治癒力を最大限発揮させ、患者様に負担の少ない形で治療を行えることこそが、鍼灸治療の大きな特徴だと考えます。